概要
敷地の大部分は天ノ川に向かって 17mも下がった急傾斜地であり、平地は僅かに 6m角ほどであった為、車 2 台を置くと建物を建てるスペースがなくなってしまう。 崖地に高い柱を建て、 住居を川側へ押し出して計画するのは、崖崩れや川の増水であまりにも危険だと考えた。
そこで、この周辺環境に溶け込むように 建物を岩盤近くまで沈め、 空中に突き出した構造とすることで上述の問題を一挙に解決することにした。天秤型の構造は、 ラッフルコンクリート杭を平らにした岩盤に支点として設置し、 道路側にカウンターウェイトとなるマスコンクリートを配することで、 5.2m×12.5mの RC チューブ状の躯体による約6mのキャンチレバーを実現し、 十分な内部空間を確保することができた。想像以上の難工事となったが、 施工者の努力で躯体の打設に成功している。
プランは長手方向に水廻りと居住スペースとで仕切り、 先端は森と川に大きく開き向き合っている。