概要
敷地の南北は4.98mと極めて狭く、東西に16.27mと細長い土地で、南北に間仕切ったのでは空間が分断して狭苦しいオフィスになると考えた。そこで集成材の120×300の柱をダブルに抱き合わせ、同じくダブルの梁でつなぎ合わせた3階まで一体の門型フレームを作り、それを2mごとに連続させ、建物を細長いチューブ状に構成している。そして道側は前面開口とし内部に光を呼び込んでいる。道路から東西にエリアごとにスキップした各フロアーに少しずつ上がり、オフィス全体が、多層ながら一つながりの空間となり、社員それぞれが互いにコミュニケーションを取れるようになっている。
準防火地域法62条及び令136条-2 により、「その他構造」の法上の要件を満たし、木造3階ながら木構造は、全て柱、梁、床はあらわし、壁は針葉樹合板のあらわしが可能となっている。竪穴区画を要しないため、開放され連続する階段の移動で全体を見渡せ、同時に人の動きが他の社員からも一目でわかるようになっている。柱と柱の間は全て針葉樹合板の棚と収納になり、余計なエレメントを出来るだけ排除したいと考えた。
各セクションは、スキップしたフロアーで緩やかに分けられ、木の温かい香りに包まれた執務空間となり、知的生産性を高めると共に環境に配慮した低炭素のオフィスビルとなっている。正面は、建物のひねりを止める巨大な木造の筋交いを配置し、印象的な外観となった。