概要
この計画は富山県高岡市(北陸新幹線が開通)に計画した。
江戸時代、北国街道沿いに茶店「ふじ家」として商売をスタートさせた(藤の木の下だったのでその名がある)長谷川家は、その後、酒造りから明治になってから醤油造りを始め、そこから味噌の醸造に家業発展させてきたが、先代が高齢になり、一旦店の歴史を閉じることになった。
しかし地元の人々から長谷川醸庫復活の強い要望があり、街道に面した店、奥の蔵、そして大きな味噌製造工場を新しい店の展開のため、改修することとなった。
倉をカフェに改装し、表店も新しくしたが、問題となるのは南側に放置された工場だった。多雪地域のため、冬は極端に人々の活動が制限される。
そこで、解体予定であった工場を残し、その内部に住空間を展開する事で通年全天候型の内部と外部をおりまぜた空間を体験出来ないか考えた。
そこで工場は補強して残し、内部に木舎、紙舎、白舎、土舎として、それぞれを独立して配し、その二重構造による内部と外部が一体になって展開する空間は、全天候の外郭の中に小さな町の一角のようなたたずまいを生み出している。
光を取り入れる為、南と北西角庭に面して開口を取ったが、そこに近い「紙舎」は光を通過し内部中心まで光をやわらかく引き入れ、「木舎」は大きな開口と緑美しい庭に向け開いて明るい空間となっている。
そして4つの「建物」の間は、多目的スペースとして8mに届く天井の下小さなコンサートや、カルチャー教室としての利用、全体を利用した展示会やゲストハウスとしての利用が期待されている。
客は長い露地を抜け、庭を抜け、蔵のカフェに行くが、冬はこの元工場内部の建物の間を抜けてカフェにたどり着く。