概要
京都の河原町御池に計画した美容クリニック。
美容クリニックは単に外科的な施術を受けるだけの施設ではなく、施術によって自信を取り戻すことで新しく生まれ変わり再び歩み出す場所である。少し大袈裟に聞こえるかもしれないが、それを本質的には”心のクリニック”であると捉えた。
”心のクリニック”は生まれ変わる前と後の境界であり、非日常的な空間でなくてはならない。クリニックに必要なシステムや設備は裏側にそっと隠し、表側は現実と少し離れた空間で医師やスタッフと患者が夢を演じる舞台となる。それはちょっとシュールな空間であり、思い出せそうで思い出せない夢の中の出来事のようなイメージをつくろうと考えた。
スクエアーなエッジで空間を仕切るのはどうも機能が表に現れてだめだと考え、待合と診察室を曲線で対照的に配し、それらを含む全体の空間は銀のシートで包み各エリアがあまり境目のないひと続きの空間とユニットに見えるよう考えた。そしてできるだけ機能をその中に埋め込むように配した。
逆にそれぞれの内部はチーク材の突板で仕上げ、無機質な外部との対比を図っている。その結果、このビルの地下に隠れ家的でありながら訪れる人が無限の可能性をそこに感じることが出来る空間になったと考えている。