概要
コンクリートコアで最後の砦とする
奈良県明日香村にあるリタイアを目前にした60代の夫婦の為の離れとして古い民家の改修。西の母屋を息子達に譲り、この東隣に建つこの古民家を離れとして住むために改装した。
計画は元の北東側の玄関の位置はそのままにして、土間に続き、内戸を開けリビングと土間を隔てる収納を回り込んで、南の土間から直接リビングにアクセスする。リビングはダイニングに続き、キッチンとなりL型のキッチンはそのまま南の庭のデッキに延び、セラミックの天板はアウトドアの同じセラミックのテーブルに続く。
近年大きな地震、台風、洪水と災害が頻発し住宅の設計もより災害に視点をおいて考えるべき時代となった。奈良県は過去歴史的に見ても他の地域に比べ大きな災害には見舞われたことの少ない土地柄で、人の生きるスパンのサイクルの中では経験していない。しかし近年この30年以内に巨大な地震が地震が発生する可能性が極めて高いことが政府より公表され、現実の問題としてその対応に迫られている。しかしその現実において、いつ、どこで、どの程度、そしてどの方向にその地震が起こることか全くわからないという何とも不確定な状態である。その上に耐震基準が存在し古民家の改修において耐震を考えた場合基礎や木構造をどのように補強すればベストかは地震の大きさや性質がわからない以上、確定的なことは考えられないのではないかという思いから、壊滅的な地震が起きても命だけは高い確率で助かるようにするのも1つの方法と考えた。
この計画では、建物は田の字型の和室で構成されていたが、北側2つの和室の部分に強固なコンクリートのBOXを打ち込み、それを寝室と洗面浴室とした。建築の木構造からあらかじめ出したアンカーボルトでコンクリートBOXと一体とし、地震においてこの平屋へのすべての衝撃をこのコンクリートBOXで受け、仮に建物が倒壊してもこの中に入れば高い確率で命が助かるのではないかと考えた。異なる構造の組み合わせだが、全体を漫然と補強するのではなく強固なコンクリートコアによって、決定的な地震に対抗する構造が今後の地震に対する構造が今後の地震に対する建物のあり方の1つではないかと考えている。