概要
大阪市福島区のタワーマンションの若い夫婦と二人の子供達のための改装である。
「マンションらしく無い空間にして欲しい」それが施主の一番の要望だった。
典型的なマンションでは全ての家族にあてはまる訳ではないのにワンパターンなプランがあちこちで採用されており、不動産広告の宣伝材料になる部屋数を稼ぐために無理な区画が行われて暗く狭苦しいものになっている。キッチンや洗面化粧台、ユニットバスなどはコスト削減のために”お決まり”の大量生産品で固められてしまい、写真映りは良くても我々から見れば数千万円〜数億といった価格に見合った居住設備とは思えないものも多い。こうした典型的マンション像は住まい手それぞれの個性とは無縁の商業的で画一的なものでしかなく、子供を育てる環境としても無機質で文化や伝統を感じさせるものとは程遠いと考えていた。
そうした無個性な居住空間を避けようと、中古で手に入れたマンションをそれぞれの家族の住まい方に合わせて再構築する計画が増えてきており、今回のプランもその一つであった。
この高層マンションの計画もプランを見直すことから考え始めた。子供室は将来の必要に備えスペースは確保するが、ガラスの壁で囲むにとどめ採光、空間の繋がりを作り出すと同時に適度なプライバシーを保っている。キッチンは完全なオープン形式でオリジナルの製作である。これも最も重要で使用回数の多い設備であるキッチンをクライアントの個性に合わせて設計したもので、機能的でかつスタイリッシュに仕上がっている。
完全なスケルトン状態からのスタートだったがいろいろな可能性がそこに浮かび上がり今後ますます面白い領域の仕事になると考えている。