概要
~耐震補強が生み出す新しい住宅のデザイン~
若い夫婦と3人の子供の為の100坪を超える平屋の改修工事である。この住宅はトラスの架構で屋根を支えているメインの部分と、それより古い時代の伝統工法の部分が一体となって建っていた。トラス架構の部分は木軸の壁を補強し、個室を中心に配したが、古い伝統工法のエリアはLDKとして、東西の壁と内部は全て取り除く必要があった。その為既存のモジュールに沿ってロの字型のRCの躯体を打ち込んで柱と梁を緊結し補強することにした。これは主に東西の水平力を補強すると同時に堅牢な躯体を内部に挿入することで、巨大な地震で万一建物が崩れてもその躯体が住む人を守ってくれることを期待している。
日本は今日、いつどこでどんな地震が起こるかわからない。建物全てを均一に補強することと同時に生存出来る空間を確保するシステムも必要と考えている。この建物は南北に4つのロの字型の補強の躯体を連続させ、その内外を人が移動する。建物の内部空間のRCの躯体が伝統工法の構造と協調し、力強さを与えると同時にリズム感のある空間となり、耐震補強がつくり出す新しい住宅のデザインの可能性を見出している。