概要
京都市左京区上高野に計画した医師夫妻のための住宅の改築計画。敷地は、南西の傾斜面の裏山を持つ約2000坪の敷地で、40年以上前に建てられた数寄屋風の住宅は80坪を超える大きさがあった。裏山は表の冠木門を開けると元々の造園で作られた池があり、その池の中央の石の橋を渡ると裏山に通じる小径になる。そこからつづら折りに上がると頂上の元々テニスコートであった平地につながる。
山とつながる
この住宅の一番のポイントは裏の山と住宅がどうつながっていくかであった。元々の建物は裏山側に十分な窓もなく、暗く山との一体感は全くない状態で陰鬱な雰囲気だったので数寄屋風の家のイメージは残しながら裏庭の存在を活かそうと考えた。そこで暗かったダイニングキッチンを吹抜けとし、裏山に面して大きな窓を取り、最も長くいる場所と森とをつないだ。それは一日の光の変化が住宅に入ってくる極めて気持ちの良い空間になった。
また2階からもブリッジを通って裏山の斜面の途中にアクセス出来、この住宅と裏山のつながりがより明確になっている。吹抜の螺旋階段を上がるとホームバーに続く、そこからは逆に京都の町をこの高台敷地ならではで一望することが出来、この住宅を通してこの上高野の山々と町並みが連続して見ることが出来る。
研究者の夫の為の書斎は1Fの寝室から直接専用の階段を使って上がるが、ここからも京都の町を望むことが出来、リラックスした気持ちでいいアイデアが浮かぶことを期待している。
浴室
浴室は最も施主のこだわったところで、桧作りのゆったりとした浴室を希望していたので、元々あった池に面した玄関脇の一室を(随分広い浴室になるが)改修して、床、天井、浴槽が分厚い桧の板で作った浴室とし池に面した3枚のガラス戸を全て引き込んでしまうと、半露天風呂のような開放的な浴室となり、ゆったりと快適な時間を過ごすことが出来ると施主も喜んでいる。
また浴室に面した池は、水が抜けていたのを修理し、同時に庭も京都の庭師によって改めて選定てもらい、作り直し、見違えるような環境になった。